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シャワーを浴びたあと、鏡の前に立ったさやかは、自分の肌の色が変わったことに気づいて微笑んだ。腕も脚も、肩のあたりもうっすらと褐色に染まり、健康的なツヤが浮かんでいる。いつもより引き締まって見える気がして、髪をかき上げながらちょっと誇らしげな気持ちになる。
ビーチで過ごした日々の名残が、肩紐の跡としてうっすら残っていて、服を選ぶたびに少しだけ迷ってしまう。でも、そんな無防備なラインさえも今は少し愛おしく感じていた。日焼け止めを塗り直すのを忘れていた瞬間や、夢中になって遊んでいた時間がそのまま肌に残っているようで、胸の奥があたたかくなる。
Tシャツをかぶりながら、「もう少しこのままでもいいかな」とさやかは思った。夏の記憶が肌に刻まれたようで、なんだか素直になれる。窓の外に目を向ければ、まだセミの声がかすかに残っていて、照り返す光が褐色の肌にそっと触れていた。
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