休日の午後、さやかは趣味の拳法教室に通っていた。白い道着に袖を通すと、自然と背筋が伸び、心も引き締まる。畳の上には軽い緊張感と、仲間たちの掛け声が響いていた。今日は新しい型を習う日で、さやかは真剣な表情で師範の動きを追いながら、ひとつひとつの動作を丁寧に確認していく。
いよいよ実践練習。ペアの相手と向かい合い、集中して一連の技を繰り出す。流れるような動きで相手の腕を取って、体をひねる。技が決まった瞬間、師範の「いい動きだ!」という声が飛ぶ。思わず笑みを浮かべたその時、勢い余って帯が少し緩み、道着の上着がはだけてしまった。
慌てて整えながらも、さやかは頬を少し赤らめて「まだまだ修行が足りないな」と苦笑い。周囲の仲間も温かく笑い、練習場の空気が柔らかく和んだ。小さなハプニングも、彼女にとっては成長の糧。次こそは完璧に技を決めてみせようと、さやかは気持ちを新たに構え直した。
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